8月, 2011年

健康について(その1)  顧問 石倉保彦

「健康」、私たちはこの言葉を常々、また無意識のままに使っています。健康のために、健康増進などなど。皆さん、生活習慣病や癌(がん)の方が私たちの周りに多くおられます。日本人の3人に1人(30%人口10万対273人)は癌で死亡しています。医療技術の進歩、生活レベルの改善等により、日本の平均寿命が世界一(女性)となったとはいえ、健康診断をすると高血圧、脂質異常症、糖尿病その他の慢性疾病を持っておられる方が多数おられます。そういう私たちは、仕事をし、運動をしつつ、日常生活を過ごしています。そこで「健康」の概念、考え方を今改めて考えてみたいと思います。

みなさんご存知のように、WHO(世界保健機関)では、1946年(昭和21年)に健康のことを次のように定義しています。「健康とは、身体的、精神的および社会的に完全に良い状態であり、単に疾病あるいは虚弱でないということだけではない

すなわち、健康とは、身体的と精神的と社会的にこの上なき最高の状態を意味しています。さらにWHO憲章前文には人種・宗教・政治的信条・経済的社会的条件の如何に関わらず、最高水準の健康を享受することは、すべての人の基本的人権の一つであると宣言しています。このWHOの定義以前の考えは、身体的な「病」のみが注目され、すなわち身体中心の「健康」が主流でありました。第二次大戦後世界が戦争の廃墟から立ち上がろうとするときに、身体の健康のみでなく、精神的、社会的な健康にまで言及した崇高な理念と指導性を持った「健康」の定義が高らかに宣言されました。しかしその後60余年の日本では、現実には身体的健康が主で、精神的・社会的な健全については、まだまだ不十分な印象を受けます。社会的不適応者の増加、自殺者の増加(年間3万人人口10万対24.4人)は、精神的アプローチの必要性を求めています。また身体障害を持った者や高齢者などの虚弱者や、知的障害、精神障害等の方々を、社会の一員として、受け入れる姿勢が求められています。このようにWHOの健康の定義と現実との間にはいくばくかの乖離がみられ、WHOの健康の定義以降、現実に即した形で「健康」の概念が、検討されてきました。次回より2回に分けてそれを振り返り、関係者のみならず、私たち一人一人が改めて「健康」を考えてみる機会になればと思います。


顧問 石倉保彦

2011年08月30日 by staff